商社の仕事 ~トレーディング編~

商社マン

今日は、商社の業務のなかでもトレーディングと呼ばれる業務について紹介していきたいと思います。

いまや商社の仕事って事業投資がメインで、トレーディング事業って少なくなっているんじゃない?トレーディング業務って要は安く買って高く売る仲介業務ってことでしょ、それ以上の話があるの?くらいの認識が一般的かと思いますが、実際もう少し奥深いものがありますので、今回は敢えてトレーディングの方にスポットライトを当てて見ます。

なかなかイメージしにくいところがあるので、今回はマンションが商材と仮定しましょう。オーナー会社が、マンション建設会社に新たなマンション一棟の建設を発注して、完成後は部屋を貸し出して生計を立てる、というシチュエーション。

まずはオーナーさんが建設会社にマンション建設を発注する取引を仲介することが考えられますね。このとき、何も機能を提供できなければ仲介させて貰えませんので、色々と取っ掛かりを探します。

情報収集頑張って、
・建設会社Aが最近あと少しのところまで行っていた契約を逃して焦っている
・建設会社Bは最近業績好調で受注量も多く交渉では強気に出てくるだろう
みないな情報を集めてオーナーさんと相談します。こうした提供する情報に価値を感じて貰うのも1つのファンクションですね。いくらITツールが発達したといっても、価格に影響しそうな上記のような情報はなかなか集めるのが大変ですからね。

その後、話が進んだところで、今度はA社から相談が入ります。
『オーナーさんの財務状況を調べたところ、たぶん大丈夫だとは思うだけど、高額取引をするには社内ルールで必要とされる最低限の基準を満たしておらず、困っている。A社との契約相手は商社さんにしてくれないか?』

取引企業間の規模感に差がある場合にこうした事象が起きることはあります。
上記のケースでは、A社-商社間で契約を結び、更にそのミラーとなる契約を商社-オーナー間で結ぶ、ということですね。
ここでの商社のファンクションは信用補完となります。
ん、でもちょっと待てよ?・・・、勘の良い読者はお気づきだと思いますが、商社は言われるがままにそのオーナーと契約して大丈夫なのか?リスク高くない?という論点が出てきます。
はい、その通りですので、商社は商社なりにオーナーのことをちゃんと調べます。これは何というか外形的な財務状態とかではなく、本当に高額契約を結べるような相手か、振る舞いはちゃんとしているか、といったことを含めてよく見ていきます。目利き力ともいえるものかもしれないですね。

さてさて、商談が進んでいきますが、ここでオーナーからこんな話が来ます。
『マンション完成した後に、5割くらいの部屋は知人に貸す予定だったのだけど、転勤が決まったとか、やっぱり戸建てが良いみたいな話が相次いで、アテが無くなってしまった。。。全ての部屋をイチからマーケティングするとなると、空室リスクが気になって仕方がない。やっぱり発注するのは止めようかな。』

由々しき事態ですね。契約が成立しなければ商社には一銭も落ちませんので、これまでの努力がすべての水の泡。踏ん張りどころです。
ここで今度は、部屋を借りてくれる人を探します。そして、マンション近くに日本支店を開設する外国企業社員の複数一家が引っ越してくるという情報をキャッチし、彼らがオーナーから部屋を借りてくれるように漕ぎつけます。つまり、オーナーから見ると部屋を借りてくれる人との仲介、建設会社との仲介の2つの取引を仲介して貰うことになります。セット販売ですね。

商社からみても、仲介する取引が増えるほど落ちるお金も増えますし、オーナーが長期的に安定した収入を得るアテがあった方が、自分達が取った信用リスクの観点でも安心だし、その後さらに追加案件の紹介があるかもしれないし、と頑張った分報われる状況です。

いかがでしたでしょうか?上記はかなり簡略化した仮想の話ですが、イメージはこんな感じです。
生きた情報の提供、信用補完、セット販売、こうした技を組み合わせて、放っておいたら流れていたかもしれない取引を成立させることで世の中を回しているんですね。
思っていたよりも奥が深そうな仕事だと思いませんか?今回は登場させませんでしたが、ここに銀行とか絡んでくる場合もあります。そうなるとより一層手広く複雑になりますのが、その全ての取引内容に精通して仕事を回していくのが商社マンです。



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