公務員の特殊業務 ~災害対応編~

元公務員

 どうもリトです。今回は公務員ならではの特殊業務として災害対応に焦点を当てたいと思います。
年初に起きた能登半島沖地震は記憶に新しいかと思います。被災された皆様が一刻も早く日常を取り戻せることを切に願います。

 こうした災害発生時に政府がどのように動いているのか、災害発生時はどのような業務を行っているか、裏方として日夜尽力している国家公務員の実情に迫りたいと思います。

 まず各省庁には通常防災担当の職員が複数名います。そのなかには、防災宿舎と呼ばれる官舎に入居している職員もいます。この宿舎は、割と立地は良いのですが、入居所は有事の際は霞が関に駆け付けなければなりません。また、省庁によっては、休日であってもその行動範囲に制限が付きます。例えば、霞が関から〇km以内までしか外出禁止など。
 どうでしょうか?個人的にはこれは結構厳しい条件だな、と感じてしまいます。。。まぁでもこうやって有事に備えていてくれる職員がいるというのは、頼もしい限りですね。ありがとうございます。

 さて、実際に災害発生した場合にどのような動きになるのか、見ていきたいと思います。防災宿舎にいる職員は一刻も早く霞が関の本省に駆け付けます。そこで、各省各局は所管業界・施設等についての状況確認を進めます。勿論、能登半島沖地震のように東京以外のエリアで発生した災害については、現場から情報を集める必要があるので、地方支分局や県庁、業界団体等と連携して情報収集を進めます。
 本省担当者は、日本全国どこで何かあっても動く必要があるので、カバレッジが広くなかなか大変です。
 集めた情報は通常、災害毎に立ち上がる災害対策本部に集約されます。この対策本部の立ち上がりは結構早く、初動対応ではまずこの災害対策本部に報告できる情報を搔き集め、整理することが1つの目標です。
 ここで、能登半島沖地震の例を首相官邸HPから見ると、以下のように掲載されています。
 ・1月1日 16:10 地震発生
 ・1月1日 16:11 官邸対策室設置
 ・1月1日 23:36 総理会見(非常災害対策本部を設置する)
 ・1月2日 09:23 第1回非常災害対策本部

 地震発生の約17時間後には、非常災害対策本部が開催されており、1月1日の夕方発災の翌朝まで情報収集に各省庁の職員が尽力しているのです……!
 当然、1回開催して終わりでは無く、刻一刻と変わる状況に応じて情報Updateしつつ、全体像の把握・対策の検討を急ピッチで進めていきます。官邸HPによると、第2回本部は翌3日の朝10:00です。なかなか気が抜けず、いつ休むんだ、という状況ですが、うまく交代しながら回していきます。
 暫くすると、総理や内閣府防災大臣を始めたとした政権幹部が被災地入りをする場面も必ず出てくるのですが、この対応も必要となります(忙しすぎてそれどころでは無い、というのは結構本音だと思います)。
 
 こうした一連の災害対応を終えると、次に始まるのは振り返りです。災害対応にあたりうまく行ったこと、備えが足りなかったこと、これを制度面、実運用面含めて検証します。場合によっては、この振り返りの中から既存の法律改正であったり法定計画の改定といった話が出てきます。現場対応が終わった後も、そこで暇になるわけではなく怒涛の日々が続きます。そして新しい枠組みができたら、それを染み込ませる為の訓練があったりもします。

 まとめると、何も起きていない平時においても有事に備えて待機、加えて前の災害の教訓を踏まえたあくなき制度改正を行いつつ、何か実際に起きた場合には文字通りハードワークに身を投じる尊い国家公務員の姿が見えてきたかと思います。皆さん、ぜひ身近な国家公務員には優しい気持ちで接していただけたらと思います。

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