株価上昇が従業員にもたらす影響 良いことばかりとは限らない

元公務員

どうもお疲れ様です。最近、年明けの新NISA解禁くらいから日本株の好調っぷりが良く報道されていますね。その後、中東情勢の不安定化を受けた原油価格高騰への懸念から下げ戻した局面もありましたが、全体的には歴史的にも高い水準での株価が続いているものと思います。

この記事では株価そのものについて特段触れる気はないのですが、会社の株価上昇が従業員にもたらす影響って何だろうか?という切り口で、日々体感しているリアルをお届けしたいと思います。この記事を通じて、民間企業がどういう風な思考回路で動いているかについてもなんとなく感じていただけると幸いです。

公務員時代は、特に株価がどうとか言うことは無頓着で、『株価が上がることは良いことだよね』くらいの感覚しか持っていませんでした。でも実際に民間企業で働いてみると、従業員の立場ではそこまで良いことばかりではないかも、と思うようになりましたそれでは早速見ていきましょう。

株価上昇が従業員にもたらす影響

良いこと:従業員個人への金銭的還元
悪いこと:経営の目線があがり、会社の事業への期待値が上がりすぎる

良いこと

まずは、良いことからですね。これは上述の通り、何かしらの金銭的メリットを享受できる可能性が高まる、という点に尽きます。

従業員持ち株会等で自社株を購入している人は多いかと思いますが、株価上昇により個人が保有する自社株の含み益が上がります

日本の一般的な大企業では、ストックオプションを従業員が持っているケースは稀だと思いますが、こうしたオプションを持っている人には勿論メリットになります。

一方で給料はどうでしょうか。給料は必ず上がるとは言えず、株価上昇の要因によるかなと思います

会社の業績が好調で年初の事業計画を大幅に上回った、この結果を株式市場が評価して株価上昇につながった、という状況であれば給料が上がる可能性が高いと思います。一般的にはボーナスUP、という形が多いのではないでしょうか。

ただし、これはどちらかと言うと株価が上がったことによりボーナスが上がるのではなく、業績が上がったからボーナスが出る、という構図ですね。

株価は会社の業績上昇によって上がることもありますが、それ以外の要因で上がることもあります。例えばですが、新NISAが始まって個人の預金口座に眠っていたお金が株式市場に流れた、投資の神様と呼ばれるウォーレンバフェットが商社株を購入し株式市場での期待が高まった、とかですね。

こうしたケースにおいては従業員の頑張りとは別のところで株価が動いていますので、特に従業員への還元、というのも無いですね。

悪いこと

それでは気になる悪いことに行ってみましょう。
経営の目線があがり、会社の事業への期待値が上がりすぎる、と書きました。『どういうこと?それは悪いことなの?』という疑問に回答していきたいと思います。

まず株価上昇は、それだけ株主からの期待リターンが上昇していることを意味します。つまり会社は、これまで以上に高い業績を出していく必要が出るのです。

既存事業で言えば、『もっと効率化できることはないのか』『更なる飛躍が見込めない事業はこの際売却して、より儲かる事業にシフトするか』、新規事業で言えば『これまで以上に儲かる事業をやろう』というかけ声が上がってきますが、これはつまりこれまでと同じ収益性レベルの案件では会社が満足しなくなることを指します

そうすると何が起きるか?勿論適切にストレッチされた目標が従業員に課されることは必要なことだと思いますが、これが行き過ぎると従業員の立場では非常に仕事を進めにくく、身動き取れない状況になることがあります。

事業の収益性目線を上げるといっても、簡単ではありません。これまで以上に儲かる事業がその辺にゴロゴロ転がっている状況は考えにくいです。これまで以上に踏み込んだリスクと取るなどの対応が必要となってきますが、そうなると当然ながら会社は慎重となります。

『稼げ!』という号令は出しますが、追加のリスク負担に対して『OK!』とはそう簡単には言ってくれません

この結果、なかなか実案件は前に進まず、社内での議論に多くの時間を割く、という循環が生まれがちですこれは成長機会を求める若手・中堅社員には辛い状況かもしれません。

なんとも皮肉な結果ですね。勿論この状況を乗り越えた先にはまた新しいステージが待っているのですが、そこまで辛抱して今の会社で頑張ろうと思うかは、優秀な若手・従業員こそ悩むのではないかと思います。

おわりに

最初の良いこと、も合わせて考えると、基本的には年功序列な日本企業では世代間で享受できるメリット・デメリットのバランスに差があることが見えてくるかと思います。

定年間近のシニア世代は、今更新しい事業にチャレンジする気概も無いし、株価上がったタイミングで持株を高く売却して退職することができてラッキー。経営陣はシニアが多く、下には無理難題(=リスクを取らずに高い収益を上げろ)を押し付ける。

一方で働き盛りの若手・中堅世代は、”悪いこと”で記載した事由による仕事の自由度低下によりテンション下がる。
という感じですね。

いかがでしたでしょうか?こうしてみてみると、従業員レベルで考えると、意外と株価上昇って良いことばかりとも言えないかもな、と思えてこないでしょうか?

会社って不思議ですよね。まだ私自身にも見えていない世界があると思いますが、これからも自分の体感を基にした見解を書いていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします!


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