お疲れ様です。リトです。
今回は縦割りの流儀と題しまして、国家公務員(中央官庁)と商社での縦割りの違いについて、深堀したいと思います。
中央官庁も商社もどちらも大組織であり、どちらも縦割りのイメージが強いと思います。ただし、私自身は同じ縦割りでも、ちょっと違うかもと感じました。
何に違いを感じたのか?というと、自分のテリトリー外の事項への関わり方です。ザックリいうと、こんな感じです。
自分のテリトリー以外のことへの言及はしません。また、自分のテリトリーの話に他省、他局、他課が口を挟まないでください。
自分のテリトリー外であっても取組みを広げたい。相手のテリトリー内の話であっても、絡むことで何かビジネスに繋がるのであれば積極的に話していきたい。
それぞれどういう背景があってこうしたスタンスに落ち着くのか、見ていきましょう。
国家公務員
通常、設置規則と呼ばれる法令に従って、それぞれのポストが規定されています。わりとハードに所掌範囲が決まっている、ということですね。
従って、自分の所掌以外のことについては何ら責任も権限も持てないので言及しない。問い合わせがあれば、それは担当部署の人間から回答するべき(もしくは回答を作成するべき)となる訳です。
ワンストップ窓口化が役所ではなかなか進まないのも、なんとなくお分かり頂けるかと思います(それが良いか悪いかは別として……)。
逆に言えば、自分の所掌範囲のことについては責任を自覚しており、法令及び過去事例等を調べ上げたうえで発信します。
こうした意識が顕在化するのが、国会の想定問答作成シーンです。
頻繁に割りモメが起きます。割りモメとは、国会議員から出てきた質問に対して、どの省庁のどの部局が回答を作成するべきか、揉めることです。
色んな事象が絡み合った質問が出てくることはよくあるので、こうした揉めごとは頻繁に起きます。
割りモメの不毛さについて語った記事はホントに沢山あるので、詳細はそちらに任せるとして、言うなればこれは消極的権限争いですね。ちなみに国会答弁作成に限らず、他業務でも常にこんな感じのやり取りが繰り返されています。
商社
一方で商社ですが、こちらは民間企業である以上、営利目的ということもあり、基本的にビジネスとして収益化できるのであれば虎視眈々と業務範囲を広げていきます。
また、1つのことに固執していると、激変する世の中の流れから置いていかれ機会損失を招く、という危機感もあります。
他部署がやっている事業でも、何かしら協力することで新たなビジネスに繋がるチャンスがあれば積極的に会話していこうという雰囲気もあります。
コングロマリットプレミアムを追求してこそバリュー発揮される業態なので、こうした姿勢になるのも頷けます。ウォーレン・バフェットは、まさにこの点を評価したはずです。あと言われているのは、総合商社には、『物流業務』と『事業投資』があり、この2つが有機的に連携しあって価値を高めている点ですね。『物流業務(トレーディング事業)って何?』という方はこちらの記事を参考にして頂けますと幸甚です。
これは中央官庁の消極的権限争いとは逆で、積極的権限争い、と分類できるかと思います。
おわりに
・・・ということで、どちらも大組織ではありますが、縦割りに対するスタンスは結構違っているなと思います。これはどちらが良い・悪いという二元論ではなく、職選びに際しては、自分の性格と合わせてみて、どちらの組織の方が合っていそうか、ということを考えておくのが良いかもしれないですね。
最後に蛇足になりますが、どちらの組織も部署ごとに作成される内規というものがあり、同じ省庁・同じ会社内であっても部署によって独自ルールが設けられている、というのは共通でした。
こういうのって、イントラにちゃんと掲載されていなかったりして、ときどきその存在を知らないで話を進めてしまって困る時があります。。。大組織で働くのはタイヘン タイヘン。。。