最近公務員の離職が増加していると耳にすることが多いと思いますが、実際どうなのか、転職先はどういうところなのか?について書きたいと思います。なお、念の為ですが、ここでは定年退職に伴う離職は除きますね。
国家公務員(総合職)の離職傾向
まず初めに、国家公務員(総合職)の離職傾向を見てみたいと思います。
参考資料として、人事院が公表している”総合職試験採用職員の退職状況に関する調査の結果について (jinji.go.jp)”を見てみると、以下のグラフが掲載されています。
青線が勤続10年未満職員の退職者数を示しており、令和2年度で109名の国家公務員総合職の方が退職されたことが分かります。109名、と聞くとどうですかね?全省庁合わせての数なので、個人的な感覚からすると、もう少し居るんじゃないかと思いましたが、まぁこんなもんです。
平成25年から令和2年にかけて増加傾向にあることはグラフから見て取れるので、離職者の絶対数は今後増えていくだろう、という見立ては間違ってはいなさそうです。
主な転職先
次に、どういったところに転職しているのか?ですが、これに関してはハッキリとしたデータを見つけられなかったので(スミマセン)、私の周りから見た傾向を見ていきます。大別すると、以下4つくらいかなと思います。
①地方公務員系
②事業会社系
③コンサル系
④ベンチャー系
①地方公務員系
これは国家公務員としての業務経験を活かしやすく分かりやすい事例です。基本的には、転勤がしんどくなったとか、家の事情で地元に帰る必要が出てきた、などの理由により選択される方が多いようです。
やっぱり国家公務員の仕事は少々ハードな側面は否定できませんので、ワークライフバランスを見直す観点で地方公務員の方が良いと考える方は一定数出てきますし、自然な話だと思います。少し変化球として、大学教員というのもチラホラいます。教授とかの研究職ではなく、大学事務の教員ですね。これも分類としてはここに当てはまるかなと思います。
②事業会社系
これは元からやりたい仕事が明確だった方に多いイメージです。国家公務員として働くと、希望の省庁に入ったとしても自分がやりたかった仕事を担当できるかどうかはまた別問題ですので、自分の意志・夢がある方はダイレクトにその業務ができる会社に移るようです。
③コンサル系
コンサル系は、能力的にはちょっと国家公務員の業務内容が物足りず、更なる競争環境に自分の身を置いて実力を試してみたい、でも『コレがやりたい!』っていう明確な希望が無い方が選択されているイメージです。あとは、やっぱり役所は年功序列なところがあるので、そういうところから早く抜け出して自分の腕っぷしでやっていきたい、という方も多いですね。
コンサル系を選ばれた方が悩みやすいのが、ロングスパンでのキャリアです。まずは転職してコンサルに入ったとして、そこで一生務めるつもりの方はあまりいないだろうな、という肌感覚です。
ということは必然的に次の就職先を探す必要あるのですが、自分が何をやりたいのか、人生どうしたいのか、という問いに対する答えを探し続けなけれならず、ある意味ではキャリアチェンジのための中継地点という感じですね。
特にそれが悪いということではなく、新しい環境に身を置けば、かかわる人の幅も広がり、次の方向性が見えてくることも大いにありますので、それはそれでアリな考え方です。
④ベンチャー系
最後はベンチャー系ですね。チャレンジ意欲旺盛だったり、旧態依然として日本の組織構造を嫌う人が選択する傾向にあると思います。そういえば、不思議と自ら起業します、という事例は殆ど聞いたことがないですね。なかなか公務員のバックグランドだと、起業に必要な知見が貯まりにくい、ということなのかもしれません。
おわりに
いかがでしょうか。まぁ人生色々ですね。日本でも転職市場が盛り上がってきて人材の流動性が上がってきていることは確かだと思います。
公務員の転職関連で、どういう理由で転職を決める人が多いのか、また転職にあたっての強みは何か、どうやって転職活動を進めたら良いかといった点を以下記事に纏めておりますので、ご興味ある方はこちらも是非ご参照ください。
だって人間だもの ~公務員が転職を決断する理由~(前編)
だって人間だもの ~公務員が転職を決断する理由~(後編)
転職を考える公務員必見~意外と気づかない公務員の強み~
公務員の転職活動の進め方(前編)~何からやれば良い?~
公務員の転職活動の進め方(後編)~何からやればよい?~