どうもお疲れ様です。
『だって人間だもの ~公務員が転職を決断する理由~(前編)』に引き続き、今回は後編となります。本当は2部構成ではなく、1部で終わる予定だったのですが、気づいたら長くなってしまったので前編・後編の2部構成になりました…..ご容赦ください……!
さて、再掲になりますが、以下4つを公務員の転職理由として挙げておりました。
今回はこのうち、『3.気を遣うことに疲れた』『4.公務員を続けた場合の自分の将来が見え過ぎた』について書いていきたいと思います。
- 激務過ぎて続けられない
- 仕事内容が大上段に構えすぎていて、手触り感を感じられない
- 気を遣うことに疲れた
- 公務員を続けた場合の自分の将来が見え過ぎた
3.気を遣うことに疲れた
これは公務員に限らず発生し得る状態かと思いますが、公務員は仕事の性質上、特に”気遣い”が求められているような気がしております。
まず公務員の仕事は基本的に調整業務です。チームワークを重んじるというと素敵な響きですが、実態はもう少し組織構造的な話が絡んでいます。各担当の守備範囲が割とハードに決まって、それが故に仕事を進めるうえで了解を取り付けなければいけない部署が多くなります。
”縦割り型組織”というやつですね。この公務員の縦割組織の特徴については、こちらの記事でも紹介しておりますので、興味がある方はこちらもご参考にしていただけたらと思います。
つまり、とにかく『お伺い』と『了解』のやりとりの連続なのです。この組織間の調整、いわば横の調整から解放されることはありません。これに対して、『上司と部下の間の縦の調整はどうか?』と言われると、公務員の場合はこれもなかなか厄介です。
各省庁のトップは大臣であり、通常は政治家です。各省庁で公務員が就けるトップの役職は事務次官です。この役職名に『次官』と付いていることからも伺い知れますが、公務員が最終の意思決定者になりにくい構造となっています。
勿論、ホントに細かいことまですべて大臣が決めるわけではなく、重要性が低いものは、事務次官やその下の局長に委任されていることもありますが、重要事項については、叩き上げの公務員ではなく、ある意味落下傘的に大臣のポストに就く政治家が決める構造です。
従って、どこまで行ってもこの縦の調整から抜け出せることは無い、ということになります。さらに安倍政権時代は、ある意味では大臣を差し置いて官邸の力が強まっていました。こうなると、公務員は自分の省庁の大臣のみならず、官邸に対しても調整が必要になる訳です。大変ですね。。。
また最近は、働き方改革が進んできた影響で、部下に対しても気を遣うという場面が増えてきていると聞きます。自分の言動がパワハラ的になっていないか、など気にすべきことがひと昔前に比べて断然増えています。
そうすると、特に中堅職員は、『横の調整だけでも大変ななか、縦の調整で上のみならず下にも気を遣う』という状況になり、”気遣い疲れ”という状況に陥ることがあります。『自分もケアしてほしいのに。。。』と思うなか、なぜか中堅くらいになると、働き方改革はどうしたんだ!?、というくらい昔のママ厳しいモノ言いが上からは来る一方で、下には気を遣わなかければならない、という状況が発生します。まさに狭間ですね。。
こうして全方位に気を遣うことに疲弊しきった中堅どころが、転職しようと思い立つことがあります。
ただ、注意点としては、いわゆる大企業と言われる民間企業に転職した場合は、その程度の差こそあれ、同じような状況は存在します。なので、ベンチャー企業に行くとか、NPOに行くとか、起業するとか、ガラっと仕事のタイプを変えないと根本的な解決に至らないことには注意が必要です。
4.公務員を続けた場合の自分の将来が見え過ぎた
公務員はポストに対して、だいたいこれくらいの年次の人が就く、という相場観ができあがっています。また、なんだかんだ言って、学閥のようなものも多少は残っています。例えば、〇〇局では審議官級以上の役職者は△△大学出身者が就くことが多い、といった具合です。
これらの情報を踏まえつつ、自分の先輩の異動先を見ていくと、ある程度、自分が今後歩む道のりが透けて見えます。自分の将来が見え過ぎてしまうことに、”退屈さ”を感じ人が新たな道を探し始めることは、まぁ自然な流れかなと思います。
ある意味では、向上心の強い人の方がこうした状況に満足できず、転職を決めることが多いように思います。この場合は、割とキャリアアップに繋がるような転職先に行くことが多いですね。
まぁでも、例えば銀行とか、日本的な組織文化が色濃い企業に行くと、同じような話はついて回る問題ですが。。。。特に、そうした企業を転職先に選ぶ場合、『転職して入った中途入社の職員がどの程度、上の役職まで上がっていけるか?』という点はリサーチしておいた方が良いかもしれません。この点を疎かにすると、転職したは良いものの、また時間が経つと同じような問題に直面する可能性があります。
もしくは、給与レベルがワンノッチ高い業界に行くことで、転職先での昇進・キャリアアップはそこそこでも、そもそものベースが今より改善することに意義を見出すとか、自分なりの納得感を持つことは同じ問題を再生産しない為にも大事です。
おわりに
いかがでしたでしょうか?前編・後編の2部構成になり、思いのほか長くなってしまいましたが、公務員が転職を決断する理由について、その中身を掘り下げてしみました。
書いていて思いましたが、公務員のみならず、日本的な大企業に当てはまることことも多いなと感じました。この辺の閉塞感を打破していくことが、日本が更なる成長ステージに入っていくことには必要になるかもしれないですね。と、最後は少し壮大な話になってしまいましたが、今回の記事が転職を考えている方々や、公務員として働くってどういうことか知りたい人の参考になっていれば幸いです…..!