どうもお疲れ様です、リトです🔦
霞が関の人離れが叫ばれる昨今ですが『実際に公務員から民間企業に転職した人はどんな理由があって実行に踏み切ったのか?』多少なりとも気になる論点かと思います。
そこで今回は、私の実体験や転職した周りの人の意見を基に、公務員が転職を決断する理由について掘り下げていきたいと思います。なお、国家公務員のよくある転職先については、こちらの記事を参照していただけたら幸いです。今回は、転職先ではなくて理由にフォーカスしており、前回の記事では殆ど触れていないネガティブな側面にも触れている点が主な違いですかね。それでは行ってみましょう!
- 激務過ぎて続けられない
- 仕事内容が大上段に構えすぎていて、手触り感を感じられない
- 気を遣うことに疲れた
- 公務員を続けた場合の自分の将来が見え過ぎた
1.激務過ぎて続けられない
中央官庁で働く国家公務員(官僚)が激務という話は皆さんも耳にしたことがあるかと思います。
なにが激務かというと、筆頭にあがるのは国会対応です。国会議員が国会で質問する内容を事前に政府サイドに通達します。その質問に対して、あらかじめ答えを準備しておき、当日はその答えをカンニングしながら、大臣等の政府サイドの人間が質問に対する回答(答弁)をしていきます。
このシステムそのものは限られた時間を有効に使うための工夫なので、『そういうもの』として捉えていただいて良いかと思いますが、この事前質問が来るタイミングが前日の夜10時とかめちゃくちゃ直前だったりします。そこから、どの省庁・省内のどの局が答弁案を作成するかの”割りモメ”、そし答弁案のドラフト、上司の確認をやったうえで翌日朝イチで大臣レク、とかなると正に夜を徹しての作業となります。
若いうちはまだ何とかやれなくも無いですが、これが40代、50代になっても続くと思うと、なかなか痺れるものがあります。まぁさすがに役職が上がると、ずっと役所に待機していなくても、でてきたドラフトを確認するだけで良かったりもしますが、この仕事そのものは無くなりません。。。
国会対応を除いても、長時間労働気質であることは間違いないかと思います。ミスがあってはいけないという仕事の性質もありますが、やはり国会対応等で感覚がマヒしてきているのか、とにかく時間というリソースに無頓着になってしまっている側面は少なからずあるかなと。
こうした状況を冷静にみつめ『このままだと自分の人生が何なのか分からなくなる』『もう少し仕事以外のことにも自分の時間を使いたい』というワークライフバランス派の人は転職を考えるようになる、というのはある意味自然なことだと思います。『霞が関の働き方改革が待ったなし』と呼ばれる所以ですね。勿論、それでも国をよくするために働き甲斐を感じて、日々頑張ってくれている人は沢山いますので、そういう人たちには改めて敬意を送りたいと思います。
ちなみに蛇足ですが、この『待ったなし』という表現は政治家や官僚の間でよく使われる気がします。言っているときはカッコイイ感じですが、実際に『待ったなし』で急ピッチでモノゴトが進むことは稀です。。。なんかもう政治家の言葉はインフレし過ぎですね。。。
2.仕事内容が大上段に構えすぎていて、手触り感を感じられない
こちらは担当している業務にもよるところも大きいですが、そこで止まってしまうと話が進まないので、私なりに言語化を頑張りたいと思います…..!
中央官庁は基本的に日本全体を俯瞰して統括するポジショニングです。なので、空中戦の政策論や大上段に構えた計画策定に関する仕事が多いですし、その政策・計画の練り上げにも相当な時間と労力を要します。
”政策・計画策定→具体化・アクション→振り返り→アクション修正”という循環のなかで、まず最初の一歩目である政策・計画論にめっちゃ時間を費やし、さて具体化の段階、というときに人事ローテーションにより幹部が変わることもザラです。
ここで、新しく着任した幹部が前任の考えとシンクロしていれば良いのですが、独自の色を出そうとして、『別の政策に注力しようとか、別の計画を作ろう』と言い始めたりして、”具体化・アクション”のフェーズを見る前にまた政策論に戻るという謎現象が発生することも多々あります。ということで、この政策・計画論ループから抜け出すのはけっこう大変です。
また更に厄介なのは、政策のフォローアップ自体は大事との認識が役所全体のなかでは強く認識されているので、『新規施策・計画に基づき、毎年どの程度進捗があったか?』という”フォローアップ”自体は粛々と行われたりします。新しい政策・計画が増えるたびに、現実が何も変わっていないにもかかわらず、フォローアップ含めて相当な仕事が発生してしまうのです。
少し脱線しますが、”新しい政策・計画を立ち上がる場合は、古い政策・計画を1つスクラップする”というルールを導入すべきだと、個人的にはけっこう強く思いました。。。
さて、気を取り直して、首尾よく最初の政策・計画論ループから抜け出したとしても、中央官庁の立場で実際の具体論・アクションフェーズまで担うことはあまり多くはないかと思います。
例えば、”日本においてベンチャー振興を図る”という目標のもと、”新しく設立されたベンチャー企業への補助金制度”を創設したとします。
この場合、中央官庁がやることは補助金の支給と管理であり、実際にベンチャー企業を立ち上げるわけではありません。『そりゃそうだろ』という感じもしますが、”ベンチャー企業が増加する”という効果が目に見えて現れてくるには相当な時間がかかりそうですし、十中八九、その頃には人事ローテーションにより自分は担当から外れています。
”制度をつくったぜ”ということ自体にやりがいを感じられる方であれば、向いていると思いますし、実際にその制度によってどこまで現実社会が変わったかまで見ないと気が済まない性格の方は、なかなかモチベーションを維持しにくいかもしれません。
また『ベンチャー振興』といった時流に乗ったホットなテーマに携われる方は世間からの注目もあり、まだ良いかと思うのですが、本当にニッチな産業や業界を担当する人は、何をやってもなかなか注目されにくい、という現実もあります。まぁ、行政府が”注目されるかどうか”を指標として活動すべきではないので、それはそれで良いと個人的には思っていますが、『人間だもの、そこまで高潔になりきれるか』という感じですね。
こんな感じで、ちょっと浮世離れというか、少し現実社会からリモートに感じられることに日々の業務時間の大半を費やすので、仕事の”手触り感”のようなものを感じにくい職種かなと思っています。
まぁ、日本全体を俯瞰する中央官庁のポジショニングを考えると当然と言えば当然ですが、自分はもう一歩前に出て仕事をしてみたい、と思う人は転職を考えたりします。
さてさて、ちょっと長くなってきてしまいましたね。最早もともとのテーマがなんだったのか見失うおそれさえ出てきたので、”前編”はここで一旦区切ろうと思います。すみません。。。
次の記事では後編として、『3.気を遣うことに疲れた』『4.公務員を続けた場合の自分の将来が見え過ぎた』について書きたいと思いますので、引き続きこちらもよろしくお願いします!