知られざる公務員の特殊業務 ~大臣出張編~

元公務員

どうもリトです。最近、日によって寒暖差が結構ありますね。でもやっぱり5月って一年のなかでもベストシーズンくらいに感じています。

さて、そんなGWに閣僚がこぞって外遊するというニュースがチラホラ出ていますね。

閣僚の海外出張自体の是非は特にこの場では触れませんが、閣僚が海外出張に行くとなると、中央官庁の国家公務員も同行することになります。このとき公務員はどんな仕事をしているのか?について、今回もできる限り分かりやすく掘り下げを頑張りたいと思います。

尚、副大臣や政務官は閣僚ではありませんが、基本的な対応は殆ど同じと考えてください。

また蛇足ですが、そもそもなんでGWにわざわざ出張するんだ?と思う方もいらっしゃるかと思います。5月は通常国会の会期中ですので、国会対応がある為なかなか閣僚は留守にすることができません。その国会の穴場となるのがGWということなんですね。

もっとも、公務員側からするとせっかくのGWなのに出張という悲しい状況に陥る訳ですが。。。本当にお疲れ様です。。。

さて、気を取り直して本題に行きましょう。

出張目的

まずは出張目的の整理です。

わざわざ一国の大臣が外国まで出向くわけですから、『手ぶらで帰って来るのはカッコ悪い』という心理が働き、海外出張による分かりやすい成果を準備することを役人は考えます。お土産を準備する、と言ったりもしますね。

例えば、出張先で相手国のカウンターパートとなる省庁と”〇〇に関する協力覚書を締結”、とか、外務大臣であれば”〇〇に関する共同声明発表”、とかですね。

普通に考えると、大臣が出張するから成果を作るというのはモノゴトの順番が逆ですが、まぁ現実はそんなもんです。

少し話が逸れますが、総合商社でも幹部が出張するので何か成果を作らねば、、、とこの手の議論はあります。

日本特有のものか?と思いきや外国の政府・企業も言ってきたりするので、こういう偉い人の為に何か成果を準備して差しあげるという価値観はグローバルレベルで一定数存在するようです 笑

出張事前準備

さて、目指す成果が定まったら、そこに向けて事務方にて事前調整を開始します。

場合によっては、この事前調整の為に、事務方だけで現地出張に行く、というワンステップを挟むこともあります。どおりで仕事が無限に増えるわけですね。。。

こうした成果を詰めたり、出張先で視察する案件の概要などを総称して”サブ”と呼びます。”substance”のサブから来ていると役人時代に聞いたような気がしますが、正直あまりしっくりきていません。。。何か聞き間違えたのかな。。。まぁいいや。。。もし間違えていたら誰か教えてください。。。

サブに対して、出張に必要となるフライトや宿、現地での車手配などを総称して”ロジ”と呼びます。これは”Logistics”のロジから来ており、こちらは納得感あります。このロジは地味ですが、要人の海外出張ともなればミスが許されないので、けっこう大変です。

とはいっても『フライトや宿の手配のどこかそんなに大変?』という疑問を持つ方もいらっしゃるかと思います。例えばフライト手配のみならず、空港に着いてからどう過ごすか、飛行機から大臣一行に遅れないによう移動するにはどうすれば良いか、といったことまで詰めます

もう少し具体的にみていくと、日本の空港を利用する場合、通常貴賓室きひんしつと呼ばれる応接間を利用して搭乗時間まで待ちます。

そのアレンジであったり、貴賓室に入った後の会話のトピックをどうするとか、考えることは沢山あります。

裏口っぽい入口から入り、たしかに特別感はあるのですが、静かな空間で大臣等と一緒になるのはなかなかしんどいものがあるので、事務方的には正直普通にチェックインする方が楽です。。。

出張中

無事出国したと思っても、飛行機に乗った後も油断できません

着陸後、いかに大臣一行に追いつくかを考えねばなりません。通常、事務方は幹部以外はエコノミークラスなので、普通に降りていくと結構差が開いてしまいます。

よって、航空会社に事情を話して着陸時に優先的に降ろして貰えないかと相談をしたりします。日本の航空会社なら事情を汲んでくれることが多いですが、外国の航空会社の場合は、ホントに相談ベースですね。

この観点では、なるべくJAL/ANAを選びたいところですが、コスト管理への圧力も厳しく、安い航空会社を選ばざるを得ないのでJAL/ANAに乗ることは少なかったように思います。

公務員なのに、ちょっと意外ですよね。あと地味に大変なのが手土産の運搬ですね。事務方で分担して運びますが、トランクのスペース取りますし、普通に重たいです。

どうでしょう、少しでも大変さをお伝えできていれば良いのですが。。。

ロジ・サブともに細かさ故に膨大な情報量になるのですが、これらを纏めた”ロジブック””サブブック”なるものを作ります。今はどうなのか分かりませんが、出張者の頭数分、印刷してファイルに纏めて、という作業をやっていました。まぁ、今の時代ではさすがにここまではやらないのですかね、ちょっと分からないですが。

こうした入念な準備を行いつつ、現地に着いてからも緊張感ある対応は続きます。重要な面談や会議の前には、大臣レクを挟んで、要点を首尾よくインプットします。”レク”は”レクチャー”のレクですね

また本番の言語ですが、通常は通訳を付けますので、大臣には日本語で話していただきます。ちょっとカッコ悪い気もしますが、ハイレベルなやり取りゆえにニュアンスが間違って伝わると大変、ということらしいです。事務方は怒涛のメモ取りをやります。

出張中にこなした会議の議事録作成は帰路でもやるのですが、東京に速報が必要な場合は隙間時間を見つけてまとめたり、ホテルに戻って急いで作業します。翌日のロジ・サブの再確認もありますし、ホントにやることが尽きないです。。。同僚と一緒に私の部屋で作業していたとき、気づいたら同僚はソファで寝落ちしていました。。。ホントに体力勝負です。

さてさて、ようやく帰路ですね。帰りのフライトでは、出張報告をまとめたりします。私の先輩の話ですが、機内でパソコンで作業するだけに飽き足らず、その場で持参したモバイルプリンターで印刷までしていたら、隣の外国人に『クレイジー』と言われたとこぼしていました。たしかにそれはクレイジーかもしれないです 笑

おわりに

いかがでしたでしょうか?大臣の海外出張同行というと何やらカッコイイ響きもありますが、その裏に役人たちの懸命な仕事ぶりを垣間見ることができたなら幸いです!

なんだかんだで一国の大臣を支える役回りはそれなりに重い、ということですね、それはある意味ではやりがいでもあるかと思います。

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